3月末に国際会議発表と研究打ち合わせのため、シドニーとブリスベンに出張したのだが、出張先でインフルエンザを発症してしまい、体力をかなり奪われ、回復するまで2週間以上かかった。いや正確にはまだ回復途上である。昨日前期はじめての講義があったのだがフラフラになりながらも何とか務めることができ一区切りついたのではないかと思っている。今回は2週間以上インフルエンザとそれに伴う体調の悪化に悩まされたことになるが、この経験は海外で病気になったときの対処や、国によって医療に関する文化の違いについて色々と勉強になったので、恥を忍んで書き残すことにする。
3月25日に出国し、ITM->HND->SYDの経路で、26日にイースター休暇真っ最中のシドニーに到着。27日に発表を行い、会議終了後の28日夜にブリスベンに移動する旅程である。シドニーのホテルをチェックアウトした28日から体調が悪く、ブリスベンに到着した28日の夜にはかなり高熱となり、ボーッとしていた。たまらないので持参していた解熱鎮痛剤を一度だけ服用した。思えばこれがあまり良くなかったのかもしれない。
ブリスベンでは29日にグリフィス大学を見学させていただいた。お世話になったW先生に感謝する。W先生にはせっかくレンタカーを借りているのでドライブをとすすめていただいたが、体調が悪くそれどころではなかった。この時点では熱は36度後半となり、一旦落ち着いていたため、熱が下がるまでさらに休養すれば良いと思っていたのである。しかし帰国する30日になっても、いっこうに熱が平熱まで下がらずボーッとした状態であった。このままでは帰国のフライトが地獄になる。クレジットカードに海外旅行の保険が付帯していることを思い出し、窓口に電話し30日の午前に受診できる病院を紹介してもらった。こういうこともあろうかと、「保険のご案内」リーフレットを持参しておいたのだ。
紹介してもらった病院はブリスベンの中心地にある日系のクリニックで、検査の結果B型インフルエンザであった(日本と同じく鼻の奥を採取する)。発症して48時間を越えていると思われることからリレンザの投与はできず、このまま休養し、発熱時には解熱鎮痛剤、抗炎症剤を服用するようにアドバイスを受けた。ちょっとビックリしたのが、薬が「○日分」ではなく、箱ごと処方されたこと。また、病院じたいかなりカジュアルな雰囲気で、診察中もフレンドリーに会話されるドクターであったのも少々びっくりした(日本人ドクターです)。これらの診察、投薬すべてはクレジットカード付帯の保険で賄うことができた。面倒な手続きは一切なく、クリニックで渡された書類にカード番号を記入するだけであった。今回はカード付帯とはいえほんとうに助かった。
帰国のフライトは案の定苦行となってしまった。もちろん解熱鎮痛剤を飲めば熱は抑えられる。しかしこれは免疫の働きを抑えていることに他ならないため、結局インフルエンザを長引かせることになってしまう。インフルエンザであることをCAに知らせると、色々と特別対応モードになった。どこのトイレを使ったかとか、鳥との接触はなかったかとか、うんざりである。別の話になるが、オーストラリアでマスクをしていると予想通り奇異の目で見られた。「He is a doctor.」とか言われたが気にしないことにした。
こんな調子で帰国しても熱が下がらないため、帰宅後の夕方病院に駆け込んだ。先生にオーストラリアで処方された薬を見せると、やはり箱ごと出していることに驚いていた。また、日本は医療保険に基づく診療が一般的だが、欧米はいわゆる自由診療のため、言わなければ、またお金を出さなければ、ある程度の診療で終わることが多いのではと仰っていた。病院がカジュアルな雰囲気であったことを思い出し納得した。ラピアクタ(点滴)を処方してもらい、体を温める漢方薬を出していただいた。
結局熱が下がったのが4/1で、その後も体調が戻らず4/5まで休暇をいただくことになってしまった。全力疾走できるようになったのが4/13なので2週間以上かかったことになる。ほんとうにインフルエンザは大病である。